農園のロゴやら書店の什器やらから店舗の内装なども、
気づけば自分たちで作ってしまうので、
(そんなことしているからバタバタ忙しいのですが笑)

何となく最初に養蜂の巣箱を見たときも、

「これは行ける!(自分で作れる!の意)」

と思っていました。

ので、作ってしまいました。

奈良山式巣箱
(定置養蜂用10枚巣箱+継箱)

です。

です。と言われても困るので少し説明します。

養蜂には大きく分けて2つあり(大きく出ましたが普通の話です)

移動養蜂:有力な蜜源の花の開花場所を追いかけて巣箱を持って移動していく
     (南から北へ、産地から産地へ、山の下から上へ)

定置養蜂:巣箱は同じところに置いてシーズン毎の花の蜜を取る←奈良山園

という違いがあります。

日本では桜前線のように北へ向かって開花時期が移っていく特性から、
明治以降、移動養蜂が盛んであったとのこと。

移動養蜂で必要になるのは、
・何時間もトラックの荷台に積まれても大丈夫な、
・蒸れない慌てないため通気性がよく、
・持ち運びできるため軽く、
・巣箱ががっちりと組み合わさって崩れない、
感じの巣箱だったようで、
日本式の巣箱を見ると見事にこの仕組でできています。


リノベーションした30年前の巣箱

軽いサワラ材、窓が付いて開閉式の入り口、がっちりとした箱の組み合わせ、など。

ただ、一度置いたところで飼い続けて移動しない場合は、
日本式ではなくてもいいんじゃないかな、という感じで、
師匠の中林さんに最初導入してもらったのも、
そういう意味では変わり種の窓のない海外製の定置用巣箱でした。


ペイントした初期導入の定置用巣箱

ちなみに巣箱の英語 beehive box で画像検索すると、
見事に定置用のこのタイプの形が多くでてきます。

どちらがいい、というのではなく、
使い方の問題だと思います。

奈良山園では、巣箱の自社開発?にあたり、
移動しない養蜂形態であるため、
定置用の巣箱を参考に、設計・製造しました。

ただ、ニホンミツバチの巣箱の自作例はたくさんあるのですが、
西洋ミツバチの巣箱の自作例は参考になる情報はほとんどなく、
日本式巣箱の設計図や巣箱の実測、
海外の巣箱を参考にしながら制作しました。

コンセプトは、

・シンプル
・使いやすい(人が)
・過ごしやすい(蜂が)
・作りやすい(自分が)
・いい感じ

です。

です。と言われても困るので説明します。興味ある方はどうぞ。

 

部材はホームセンターで売っているパイン集成材18mm厚を直線カット、
空気穴の部分も片側切落しで作り、
組み合わせる切り欠きなどできるだけ作らず、
直線だけで構成してボンド+ビスで作れるようにしています。

使えそうな質感と価格の板材で合板以外だとパイン材かなという感じです。

サイズは日本式も海外式もほぼ同じだったので、
いずれとも組み合わせられるよう統一したサイズにしました。

巣門は高さ9mm、スズメバチの侵入できないサイズで(女王蜂は問題なく戻ってきています)
ヒノキ材の回転扉を付けて、巣門の開き具合を調整できるようにしています。
ヒノキはチョーク病の予防にもなるようで。(木材で効果あるかは不明ですが)

定置式なので、巣門の前のデッキを長めに取り、
移動式では短くて着陸失敗してずっこけている蜂がけっこういたので、
蜂が離着陸しやすくしています。

フタは通気性を考慮して回転式の空気窓を付けました。
地味にこういう移動部材を切ってつけるのが大変です。
ちなみにサイズを巣門と同じ9mmにしたら、
ミツバチが気に入ってけっこうここから中に入って遊んでます笑

天板にはメッシュの取り外しできるフタを付けてあり、
ミツバチが天井に営巣しないことと通気性の確保をしています。

巣箱を持ち上げるための取手を横木でつけてあり、
穴が彫り込んであるだけよりも持ちやすくしました。

給餌器もベニヤ板で作ります。

なんて写真を撮っていたら、
ミツバチが飛んできて巣箱の上を歩いていたので、
気に入ったのかな!?

ということで、
新しい人工分蜂群の巣箱として入居してもらい、
今は順調に住み着いています!

コスト的には、材料費は中国製巣箱を購入するのの半分くらい、
組み立ての人件費を入れなければラッキープライスと言う感じです。
人件費を時給で入れると、たぶん中国製を買ったほうが安いです。

でもこれはこれで、プライスレスという感じです。

以上、
足りないものは自分で作る、
欲しいものは自分で作る、
未来は自分で作る、
農家魂のお話でした(!)

※ミツバチノートの記事は、2019年の東京里山養蜂ワークショップに関連して、ミツバチ1年目の農園主の個人的な視点で養蜂の経過をお伝えするものです。専門的な技術や農園の業務をお伝えするものではありませんのでご了承ください。